脱力すると、どうして表現がキレイになるの? 
脱力すると、どうして表現がキレイになるの?
それは、思った通りに音をコントロールしやすくなるから! |
演奏に余裕がない状態で、常に練習し続けると、
練習中の曲に、荒々しい演奏 のクセがついてしまいます。
腕がガチガチ、余計な部分まで強ばっていて、まるで
油の切れた、ギコギコのロボット状態 でピアノを弾いたら、
意図した演奏に対して 「誤差」 を出しまくりで、音量や表現のコントロールが
制御不能になりますよね?
目の前の練習に余裕がなくて、
練習中の音が、攻撃的 (余裕がない状態で無理矢理弾く)
になってるときは、残念ながら 「表現」 には 悪影響 しかありません。
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脱力して弾くと 音がキレイになるのはなぜですか?
脱力 して弾いた時は、筋肉の動きがスムーズになって、
次の音への動きが滑らかにつながるからです!
意図した演奏に対して 「誤差」 が少なくなり
腕がガチガチ状態で弾いていたときと違って、演奏に余裕が出てくると
本来やろうとしていた、狙ったとおりの表現が、そのままスッと通りやすくなる!
だから、綺麗な表現は、脱力できているかどうか? によって
大きく変わってくるのです。
目の前の演奏に余裕があること
心の緊張が、身体の緊張にもつながっている
だから、先に心の 「余裕のなさ」 を解くこと |
今までは、技術面のみを解説してきましたが、
目の前の演奏に余裕があるか? というのも大事です。
大曲の練習初期など、あまりにも余裕がなさ過ぎて、
無意識に 歯を食いしばってる状態 で弾いていて、
一方で 「手の力を抜こう」 と思っても、それは無理な話。
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どうしても、無意識に力が入っちゃうんです。
「力を抜いて、脱力を意識」 って思ってもなかなかできなくて・・ |
曲になると 「脱力」 ができなくなるのは、どこに問題があったの?
今までは、「手」 だと思っていたけど、実は 「頭」 だったのです!
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目の前の練習で、ヒドイ目にあわされてるときは
演奏に余裕がなくて、音を鳴らすだけでいっぱいいっぱい。
余裕がない状態で無理矢理弾いているから、身体がガチガチになる。
ムキになればなるほど、さらに硬直して、荒々しい演奏になって
あれおかしいな? と思いながら、さらに自分を追い込んでいませんか?
疲れたときの弾き方を拾う (身体で感覚を学びとる)
脱力を意識してるけど、 『曲の演奏』 になるともうダメ!
意識してるのにフッ飛んじゃう!
という人は、
長時間練習していて、疲れてきた状態 のことを思い出してください。
練習中、だんだん疲れて弾くのがつらくなってくると、
身体がラクを求めて、余計な部分から力を抜き、
勝手に最低限の力だけで動くようになってきます。
普段、無意識にやっていたことなので、指摘されないと
気づかなかったでしょうが
これが、「脱力」 の状態なので、
この感覚を確実に覚えるようにしてください。
脱力の習得は、頭で理屈を考えたり、意識で力を抜こうとしても、
なかなか器用にできないものです。
それより、身体で感覚を学び取ったほうが早いし、確実に身につくのです。
脱力の代表的な失敗例 (芯までグニャッとさせる弾き方)
ピアノを弾くときに、「脱力!」 と言われてきた人が
芯までグニャッとさせる弾き方 をしている場合があります |
「ヒジ支点」 や 「肩支点」 といった、もう一つの基本が出来ていない
状態の方が、いきなり 「脱力」 からスタートしてしまった場合
タダ単に 「力を抜く」 ことだけが目的になって
「芯までグニャッとさせる弾き方」 になっているケースがあります。
ただ力を抜くだけではダメ なのです。
脱力は、ただ力を抜けばいいのではなく、強弱のコントロールを
思い通りに操ること。
「手段」 と 「目的」 が入れ替わらないよう、注意してください。
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「キレイな演奏」 という目的のために、「脱力」 を使ってる
はずなのに、いつの間にか「脱力」 すること自体が目標になってしまって、
その結果 「芯までグニャッとさせる弾き方」 になっていることに
気付いていない人も多いのです。
正しい脱力は、「身体全体を使って、必要なところに必要なだけ」 という、
身体の動き方の最適化になります。

腕の痛みと腱鞘炎 |