ヨーゼフ・ホフマンの奏法分析
ヨーゼフ・ホフマンの奏法分析 ・ 伸ばした指に、角度のついた手の ・ 角度をつけることで、力の弱く、短い小指に力を加える ・ 逆に人さし指の力を弱め、5本の指の音のバランスをとる | 弾くときの意識は、腕の運動を少なく、腕と肩の筋肉を柔軟にします。 また、自然な動きが妨げられないよう、手首をやわらかく使って、 滑らかな動きを作り上げます。 また、音を出すときの意識は、鍵盤に指を吸い付かせながら、 なおかつ歌うように指をすべらせます。 ヨーゼフ・ホフマンの奏法 鍵盤の上にゲンコツを置きます。 手の甲の角度は、人差し指が高く、小指が低くなります。 その角度を保って指を伸ばします。 鍵盤についていた手首を、少しだけ浮かせてください。 これがホフマン奏法の基本フォームです。 椅子の高さは、腕が、ひじから鍵盤に向かって平行か、わずかに下がる 程度に調整します。 この写真は演奏中のワンシーンですが、指だけで弾いていないのが分かりますか? 手の形が非常に自然で、どこも筋肉が硬直していないので、軽く鍵盤に手を乗せて いるだけに見えますが、実際には大きな音が出ています。 つまり、指にほとんど負担をかけずに音が出せるフォームなのです。 手の甲に注目してください。 角度がついています。 写真のように、人差し指を高く、小指を低くすると人差し指側の力が弱まり、 その分小指側に圧力が加わります。 その結果、指ごとの不自然な音のバラつきが若干抑えられる効果があります。 また、このフォームは、指だけで音を出しません。 手の甲ごと、鍵盤に向けて沈めることで、どの指で弾いても音がばらつかない、 安定した音を出すことができます。 ヨーゼフ・ホフマンの音の出し方 ヨーゼフ・ホフマンの音の出し方は、主に2種類。 このフォームのまま、手の甲ごと指を沈めるか、鍵盤に触れた 指先を手前 (自分側) に滑らせ、柔らかい音を出します。  | 基本的に、指は伸ばしています。 手の甲が安定した形を保っています。 腕と手の全ての動作に、ある種の丸みを 持たせます。 角ばった弾き方は、エネルギーのロスを生みます。 |  | この写真は必要以上に指を大きくそらしています。 「陸上のモモ上げ走」のように、筋肉を大きく 使うことで基礎筋力を上げると、 音がハッキリするとともに、滑らかにもなります。 |  | 左手小指に注目です。 小指単音で音を出すときは、このように指を 立てています。指を垂直にすれば、 手の甲からの圧力で力が増幅され、 芯の通った音を出せるので、 小指の筋力の弱さをカバーするための弾き方です。 |  | 左手の和音の弾き方です。 手首をかなり下げて、そのまま下に引っ張ることに よって、バランスのそろった和音を 出すことができます。 曲のラスト、 和音で終結する曲などで、使えるワザです。 | この奏法に興味を持たれた方は、ぜひ 「DVDの映像」 もご覧になってください。 当ページの解説を見ながら、 DVDの映像 (スロー再生) でホフマンの手の動きをよく観察すると、 「この音色を出すには、この動きなのか!」 というのがわかります。 ホフマン奏法の注意点 腕の運動を少なく、腕と肩の筋肉を柔軟にします。 腕と肩の筋肉は、強い音が要求されるときのためにとっておくのです。 椅子の高さは、腕が、ひじから鍵盤に向かって平行か、 わずかに下がる程度に調整します。 レガートの最も美しい音は、鍵盤の上に指を「吸い付くように、そして歌うように」 すべらせることによって、生み出されます。 それが「こする」にならないよう、タッチに注意します。 親指くぐりをうまくするには、 「親指を先に、押すべきポジションへ向けて待機させておく」 という早めの意識が必要です。 自然な動きが妨げられないよう、手首をやわらかく使って、 滑らかな動きを作り上げます。 (引用元 ピアノ奏法Q&A ヨーゼフ・ホフマン著) ピアニスト・ホフマンの考え方 音符の裏にある 「行間を読む」 音符を正確に弾いていたとしても、芸術作品の生命からはほど遠いのです。 音符の裏にある 「行間を読む」 ……この行間にこそ、芸術作品の塊が秘められているのです。 自分自身の芸術的な目で、正当に評価 作曲家本人の指示さえ、「唯一の正しい解釈」 の絶対的な権威ではないのです。 ですから作者の考えに盲目的に縛られるのは、真理ではありません。 それより、作品そのものを、自分自身の芸術的な目で、 正当に評価することが重要なのです。 伝統的解釈というのは「缶詰にされた商品」 いきいきとした力を持つには、個性的でなければなりません。 伝統的解釈というのは 「缶詰にされた商品」 なのです。 踏みならされた道に満足するような知的レベルではいけません。 素晴らしい技術を持っていながら、芸術家ではないピアニストもいるのです。 最大のfと最も美しいpの対比を考える 優れたピアニストになるのに必要なことは、ピアノという楽器の 可能性と限界について両方知っておくこと。 賢い演奏者は、ピアノの限界を超えようとはしません。 できないことを楽器に求めるのではなく、出来ることの範囲内で 完全なものを導こうとします。 ピアノは3つの f までしか出せないのに、 6つの f を出そうとしてはいけないのです。 最大のfと最も美しいpの対比を考えるのです。 考えたり計画することに時間を費やしてる? 素人芸術家は、考えたり計画することに時間を費やさず、 自分の弾く作品を攻撃するだけ。 仕上がりを気に掛けることも、表現にもがき苦しむこともなく、 ヒステリーを起こすのです。 先入観で扱うのは間違い 「ショパンはこう弾くべき」、「ベートーベンはこう弾くべき」と言う考え方は誤り。 作風があるのは事実ですが、曲それぞれの性格を無視して、 先入観で扱うのは間違いです。 作曲家を正当に評価するというのは、彼のあらゆる作品を 別個の一つの完成品として正当に評価するということなのです。 芸術家は、伝統的解釈を盲目的に受け入れるのではなく、 自分の目で発見するのです。 指の練習課題は、せいぜい30分で結構 練習は、続けて1時間以上やってはいけません。 30分ごとに、5分程度の休憩をいれ再び弾いたときに 新鮮な印象を得られるようにします。 また、指の練習課題は、せいぜい30分で結構。 練習曲の課題は、ウォームアップが終わったらただちにやめなさい。 練習課題は、作品としては生ぬるいお湯にしかなりません。 なぜ、いつまでも練習課題を続けなければいけないのですか? 技術のための勉強は、よい作品をたくさん弾いて、 あなた自身の課題を作り上げなさい。 型にはまった練習はしないように 型にはまった練習はしないようにします。このような練習は、自発性を殺します。 毎日同じ練習を同じように繰り返せば技術は上がるでしょうが、 自発性は確実に失われていきます。それは、芸術を害します。

ピアノ奏法 (一流ピアニストのピアノ奏法分析) |