プロも弾き方を間違えてるの?

まず最初は、よく 初級ピアノの本 に載っている、
手の基本フォーム というのを思い出してみましょう。
「卵を握った形」 とか、
「グーを作った後、力を抜いて、自然に広がったときの形」
「上から見て、爪が見えない形」 ……。
本によって、多少 表現も違ってきますが、
常に指先を立てて弾く というのが、日本で教わる一般的な指の形です。
 |  | 〔写真はアルトゥール・ルービンシュタイン 1887-1982〕 | しかし、実際に プロのピアニスト の指の形を見てみると、 意外に 「卵を握った形」 から離れている人も多いのがわかりますか?
例えば、パデレフスキー (1860-1941) やホロヴィッツ (1904-89) は
指を全体的に平たくして、大袈裟に言うと、点字を読むような感じで弾いています。
 |  | パデレフスキー(1860-1941) | ホロヴィッツ(1904-1989) | また、ヨーゼフ・ホフマンは、卵を握った形 と 点字の形の ほぼ中間の弾き方です。 しかも、写真を見比べると、全員、手の形が微妙に違います。  |  | ヨーゼフ・ホフマン |
 | あれ~ 私が教わった形 と全然違う! プロのピアニストでも、間違って弾いているのですか? | プロはそれぞれ、 自分で試行錯誤を繰り返した末に到達した 「形」 を持っています。 また、流派の違い というのもありますので、 ピアノ奏法は、唯一無二の 「これが正解!」 というのはないのです。 硬直した考え方にならないこと! 受験勉強的に 「この条件にはこの答えしかなくて、それ以外は×」 という指導を受けてしまうと、教わった側は、自分で考える力を失い 「この基本形 から 絶対に崩れないように」 と自分を縛るようになってしまいますが、本当は逆 なのです。 音楽的な音を追求すれば、それに応じて手のフォームも 変わってくるのですから、その場面に応じて 自分が一番いい音が出せる形を見つけ出すことも大切です | ・ ・ それと同じことは、以前購入した、ハーバード大学教授の本 『ハーバード大学教授がこっそり教える あなたの「天才」の見つけ方』 という本にも書いてありました。  | 教わることを、丸呑みするような勉強方法より 「もしかしたら、違う答えもあるかも?」 と疑うほうが、学習効果が高くなる。 |
基礎を繰り返しさらう という漠然とした方法では、 まずもって 平凡な結果 しか得られない。 たとえばテニスの場合。 私はテニスキャンプで、 ラケットの持ち方やサーブのトスの上げ方をこまかく教わった。 キャンプに参加していた全員が、同じやり方を教わった。 その後、テニスの全米オープントーナメントの試合を見ていた私は、 一流選手たちの誰ひとりとして、私が習ったやり方ではサーブしていない ことに気づいた。 しかも、選手ひとりひとりのサーブのやり方は、少しずつ違っていたのだ。 学問であれ、運動であれ、芸術であれ、 本当の専門家から直接技能を習う人は一握りにすぎない。 (一部略あり) | 引用元 『ハーバード大学教授がこっそり教える あなたの天才の見つけ方』 例に挙げられていた テニス を、ピアノ に置き換えても、 そのまま 意味が通ってしまいます。 子供の頃のレッスン で、演奏姿勢やフォームを細かく教わったが 後で 一流ピアニストの演奏 を見たら、誰一人 私の習ったやり方では弾いていないことに気づいた。 しかも、皆それぞれ弾き方が微妙に違う。 (youtubeで、世界的なピアニストの弾き方 を確認してみてください) ・ ・ もし、できるだけ 世界的なピアニスト本人 から直接習う状態 に 近づけたいと思ったら、 世の中の、ありふれた指導法 を鵜呑みにするより 世界的なピアニスト のフォームを、徹底的に分析しにいく方が 間違いなく 「理想的なピアノ奏法」 に近づますよね? (世界的なピアニスト のフォームを知りたいのですから) 皆が言ってることは、 世の中で広く信じられている、一般的な知識 でしかなく 本当の正解は、世界的なピアニスト本人 しか知らないのですから それを知りたい と思ったら、本人に直接教わるか?
その演奏を分析するか? どちらかしかないのです。

指の形はプロに学ぶ
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