電子ピアノで練習するときの注意点



    ピアノの先生 の中には
    電子ピアノに対して 頭ごなしに否定するかたも多く

    「本物のピアノ でないと、タッチに 変なクセがつくので
    電子ピアノでは 上達できませんよ!」


    との意見もよく聞きます。


    しかし、仮に 本物のピアノで練習していても、アップライトピアノの
    マフラーペダル (縦型ピアノの、消音機能) を固定したまま練習していたら

    そのほうが、余計耳も育たなくなりますし、タッチも変な癖がつきますから


    「本物のピアノ でないと、タッチに 変なクセがつくので
    電子ピアノでは 上達できませんよ!」


    この意見って、必ずしも正しいわけではないのです。

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    確かに、「表現」 の点では、電子ピアノの限界 というのはあり
    上級レベルの、高いレベルの表現 に対しては 

    「本物のグランドピアノじゃないと わからない!」 という悩みはあります。


    しかし、だからといって、

    本物のピアノで練習しないと 伸びられないのか? というと
    電子ピアノの 練習環境 でも、上手い人なら、上手く弾けるのです!

    結局、「何で練習するか?」 ではなく、 「どう練習するか?」


    また、「一般のイメージ」 とは反対の結果、すなわち

    「電子ピアノ で練習したほうが、本物のピアノで練習したときより 上手になれる」

    というケースもあるのはご存じでしょうか?


 注意


「演奏用の楽器」 として比較すれば、ピアノの優位性は間違いありません

 しかし 「練習環境」 として考えた場合には
 電子ピアノのほうが 良い結果をもたらす場合もあるのです。




  多くの人の意見は、前提条件を忘れてない?


    「本物のピアノのほうが 上達できる!!」

    という意見は 確かに正しい意見です。


    しかしこの場合、 前提条件 が2つ 揃っている 必要があります。


   1.きちんと調律されていて、音程もタッチも 狂いなく正確

   2.夜に大きな音を鳴らしても、家族や近所から 苦情を言われない


  1.調律されていて、音程もタッチも正確



    本物のピアノは毎年、音の狂いを直す 調律 が必要になります

    ……が、これが毎回1万円以上かかります。
    意外に高いのですね。 毎年の維持費が。


    そして、「子供の頃にピアノを習っていた方」 や、「家にピアノがある方」 に
    話を聞いてみると

    新品を購入されて 最初の2年くらい は、皆さんキッチリ
    調律されているそうなのですが、

    それから 3~10年 と経過するうちに、
    だんだん、この調律のお金がもったいなく感じてくるそうです。

    そして、お金がもったいないから、
    少々音が狂っても、そのまま我慢しながら弾いてしまう 

    結果として、本物のピアノで練習していながら、

    「電子ピアノより音がひどい」 ということも、よくあるのです。


  2.夜に大きな音を鳴らしても、苦情を言われない



    本物のピアノの場合、防音室とセットでないと、

    「家族や近所への迷惑」 が気になってしまい、
    なかなか思い切り 練習ができません。

    例えば、夜中の11時に、

    「なんだか急にピアノが弾きたくなったぞ。
    それも、情熱的な激しい曲を、ド派手に思いっきり!!」


    と感じても、本物のピアノではそれが制限されてしまいます。


    特に、マンションやアパート住まいの方は、この傾向がさらに強くなるわけで

 プラス面  マイナス面
 ・練習環境が本物
 ・生楽器なので繊細な表現も拾える
 ・調律代をケチってしまうことも
 ・夜中に大きな音は出せない


    ここでの、プラス面、マイナス面を 慎重に比較すると・・・

    その人の環境によっては、本物のピアノよりも電子ピアノのほうが、
    良い結果をもたらす場合もあるのです。


    「練習したいのに、練習できない」 という制限は、

    練習のうえでもマイナスで、ピアノが上達できない原因にもなります。


    その点、電子ピアノには ヘッドホン がありますから、


   「たとえ深夜でも、周囲に迷惑がかからない」

   「好きな時間に練習できる」


    という環境は、電子ピアノの一番の利点 だと思います。


    実際、家にピアノを持っている方でさえ、夜の練習用に

    自分の部屋に電子ピアノを追加購入……という方は増えています。



  設定の注意点


    ただ、電子ピアノで練習する対象は 「楽器の演奏」 ですから、

    キーを叩いて、

    「ピアノに似た音が鳴ってれば それでいいや」 というわけにはいきません。


    キータッチ や 音色、ppの微妙な表現、ペダルの効き具合 など、

    電子ピアノに グランドピアノと全く変わらないレベルまで求めてしまうと、
    まだまだ、いろいろな点に不満が出てきてしまいます。

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    しかし、意外に思うかもしれませんが、現在の電子ピアノの高級機種
    タッチに関しては、かなり優秀 になってきたのです。


    数年前までの 電子ピアノの鍵盤は、

    触ってみると 「オモチャ」 と感じるものも大半でしたが、
    最近の機種は、かなりの部分が改善されてきました。

    (音を出さずに、ボリュームゼロの状態で、鍵盤の抵抗だけを見た場合の話)


    ですから、タッチの差に影響を受けにくいピアノ奏法 さえ心がければ

    電子ピアノと本物のタッチの違いにも、それほど戸惑うことはありません。

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    …… が、実際に電子ピアノで練習している人のほとんどは、

    このような悩みをお持ちだと思います。


  電子ピアノでは 上手に弾けてるのに、
  なぜか本物のピアノだと下手に聞こえるんです。


    この理由は、タッチではなく、出てくる音の安定 にあるのです。

    音の安定?

    電子ピアノのタッチレスポンス機能は 強弱を128段階で判断するので、

    (打鍵の強さによって、ボリュームを調節する機能) 

    本物のピアノほど 敏感ではありません。


    ですから、自分の実力不足による不自然なタッチのばらつきも、

    機械側では128段階なので、判定が甘く

    バランスの取れた音として出力されてしまうので、
    電子ピアノで演奏すると、下手な演奏もキレイに聞こえて しまいます。


    ですから、電子ピアノで練習するときは、

    「下手な音が そのまま下手に」 聞こえてくれるよう、以下の点に注意します。



  1.タッチ調整は 「一番軽く」



    最近の電子ピアノは、3段階程度に タッチ調整 ができます。
    これは、「一番軽く」 に設定してください。

    そのほうが、「叩く強さ」 に敏感になり、本物のピアノに近くなります。


    指の力をつけるために、「重く」 に設定している人も多いかもしれませんが
    元々、機械側が128段階の強弱判定なのに、さらに自分の設定で

    強弱の判定 まで鈍くなる設定にしてしまったら、

    繊細なタッチから遠ざかってしまいます。

    すると、普段、「重く」 で練習している人ほど、
    久しぶりに本物のピアノを触ったときに、音のバラツキが大きすぎて、


  ピアノって、音が跳ね返る! 音のコントロールが難しい!

    と感じるようになってしまいます!

    本物のピアノに違和感を感じる人は、タッチの設定を見直してみてくださいね。

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    ちなみに、タッチ調整を軽くすることで、指が弱くなること を心配する方は

    ピアノ専門の筋力トレーニング をご覧ください。


  2.ボリュームは本物並みに




    電子ピアノの利点に、

    「ボリュームを絞れば、練習が 周りの迷惑にならない」 というのがあります。


    しかし、ヘッドフォン をつける場合も、スピーカー で鳴らす場合も、
    ボリュームは本物のピアノのレベルに合わせてください。

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    かなり大きな音に聞こえますので、少しボリュームを絞りたくなりますが、
    それをあえて我慢。

    機械側のボリュームを下げてはいけません。


    この条件で練習しないと、本物のピアノに触れたとき、


 家の電子ピアノでは 上手に弾けるのに、
 本物のピアノでは全然話にならないや。やっぱり電子ピアノはダメだね。


    という、誰もが口にする感想 をいだきます。

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    ボリュームを上げれば、その分うるさくなるし、演奏にアラが感じられます。

    ですから多くの人は、何も考えずにボリュームを下げてしまいますが、


    「下げれば下げるほど、本物のピアノと離れた条件で練習することになる」


    という事実を思い出してください。

    電子ピアノは、ピアノのシミュレーター (本物を模した装置) なのです。


    電子ピアノでの練習環境は、「本物のピアノに、できるだけ近く」

    これが、家で練習するときの基本です。



  いかに練習環境を 本物に近づけられるか?


    最近の電子ピアノは、以前に比べてかなり優秀になりました。

    プロの方でも、「夜の練習用に電子ピアノを使っている」 という方も
    増えてきたそうですから、一昔前とは、もう性能は全然違います。


    ですから、ユーザーの私たちも、

    「いかに練習環境を本物に近づけられるか? と

    使い方を工夫すれば、現在の電子ピアノでも、
    扱い方次第で、あまり不満を感じなくなるのではないかと思います。

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   ピアノ音楽誌ショパン 2007年12月号
   「使ってみよう電子ピアノ特集」 にも 私が寄稿しています。


   43ページ ・  44ページ

   「電子ピアノ特集」 というテーマでの依頼だったので
   必要以上に電子ピアノを褒めてますが。

 


    まずは現在の環境下で、いけるところまで目指してみてください。

    そのうえで、やはり 「本物でないと! 最新機種でないと!」 と思う頃には
    すでに かなりピアノが上手になっている頃だと思いますので、

    たとえ本物のピアノや、電子ピアノの最新機種に買い換えたとしても、
    元が取れると思います。




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  作者


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